会話の研究所

いつでも、どこでも、誰とでも、楽しく会話ができる自分を目指す!

明石家さんまのリアクション力

先日、明石家さんまさんの『踊るさんま御殿』を見ていたんですけど、やっぱりさんまさんはスゴイなーって思いましたね。

特に今回は、ゲストの話を聞くときのリアクションに注目して見ていました。

 

で、番組の中で「異性に言われた最低な一言」というテーマでトークが行われ、ドランクドラゴンの塚地さんがエピソードを語っていたのですが、その時の会話からリアクションを学ばせてもらいたいなと思います。

 

では、その時の会話がこちらです。

 

塚地「あのー、新宿駅で」

さんま「おー」

塚地「後輩と待ち合わせしてまして」

さんま「おー」

塚地「とぼとぼとぼとぼ歩いてたんですよ」

さんま「おー」

塚地「そしたら向かい側から、ホントにすらっと170cmぐらいの、すらーっとした女性」

さんま「おー」

塚地「で、茶髪でちょっとフワーッとなびくような」

さんま「おーおー」

塚地「顔もメッチャ可愛い、モデルさんみたいな女の子が歩いてきて」

さんま「まあ、そりゃあモデルさんやろなあ、おー」

塚地「可愛いなーと思いながら見てたんですよ」

さんま「おーおー」

塚地「そしたらその人もパッと僕の方を見て、目バッチリ合って」

さんま「おー」

塚地「バーって、ツカツカツカーって近寄ってきて」

さんま「おー」

塚地「『あのー、塚地さんですよね?』って言われて」

さんま「おーおーおーおー!」

塚地「『そーです』って言ったら」

さんま「おー」

塚地「『やったー! やったー!』って言うんですよ」

さんま「おーおー!」

塚地「『すごい大ファンなんです! 塚地さんカッコイイです!』とか言うんですよ」

さんま「おーおーおー」

塚地「で、僕もまあ『いや、そんなことはないでしょ』って言って、『いやホントです! 芸能人の中で一番カッコイイと思ってるんです!』って言うんですよ」

さんま「おーおー!」

塚地「『え、ま、マジっすか? ありがとうございますー』って、ちょっとまんざらでもない感じになるじゃないですか」

さんま「そりゃ嬉しい! そりゃ嬉しい!」

塚地「『ホントにカッコイイです!』『いや、ありがとうございますー』って言ったら、『というのも私、美的感覚がねじ曲がってるんです!』って」

さんま「あははははは! その言葉いらんよな(笑)」

塚地「美的感覚がねじ曲がってるっていう」

さんま「でもな、お前、美男ばっかりモテるわけやないから! 塚地お前それ、電話番号とか聞かへんかったんか!?」

塚地「いや、そこでグッと引いちゃって、それで『ああ、そうなんですかー』って言ってたら、『だって私ね、普通の女の子だったら、犬とか猫とかペットで飼うじゃないですか。私、アフリカ産のカエル飼ってるんです』って」

さんま「(笑)」

塚地「『え、それ俺に、なんでそれ言うの!?』と思って」

さんま「だから塚地、それはホンマやねんて! これ彼女ね、悪気なくゆーてんねんやろ?」

塚地「はい」

さんま「だったらお前、ホンマにお前のことタイプやねんて!」

塚地「でも、ねじ曲がってるまで言わなくても……」

さんま「ねじ曲がってんねんもん、しゃーないやんか(笑)」

塚地「あっはははは(笑)」

さんま「お前なそれ、絶っ対チャンス逃したって!」

塚地「え〜〜〜」

さんま「モデルさんみたいな人やろ?」

塚地「はい」

さんま「みんながみんなあれやで、ハンサム好きちゃうぞ!」

 

といった会話が行われていました。

 

で、まずここで注目したいのが相槌です。特に前半部分で「おー」という相槌が多く入っています。まあテレビなんで多少大袈裟に相槌しているのだとは思いますが、ここでポイントなのが「間(ま)」です。

塚地さんが話している途中、一瞬「間」が空くんですよね。これは誰にでも必ず発生するものなんですけど、この一瞬の「間」に相槌を入れるわけです。そーすると相手もちゃんと話を聞いてくれていると感じ、話しやすくなります。

もちろんやりすぎると不快感を与えてしまうのでバランスは大事なんですけど、しかし全く相槌をしないよりはいいです。

そんなわけで、相手が話している時に発生する一瞬の「間」に、相槌を入れるように意識すると話しやすい空気を作りやすくなると思いますよ。

「いやいや、お前に言われなくても分かってんだよ!」という声が聞こえてきそうですが、次に行きます!

 

続いて注目したいのが「合いの手」です。

これは相槌とちょっと似ているんですが、しかし相槌と違う点は「おー」とか「うん」とかではなく、共感を入れるのがポイントになります。

今回の場合で言えば、「まあ、そりゃあモデルさんやろなあ、おー」とか「そりゃ嬉しい! そりゃ嬉しい!」の部分ですね。

このように相手の話を聞く際、相手の立場になってその場面をイメージするわけです。そして、きっと嬉しいだろうなーと感じた時は「そりゃ嬉しいよね」とか、あるいは大変だろうなーと感じたなら「うわー、それは大変だわ」みたいな感じで合いの手を入れるわけです。

そうすると話しやすい空気ができやすくなり、相手も気持ちよく話せるようになる確率が上がります。

 

続いて、塚地さんのエピソードを聞いたあとの返しです。

モデルさんみたいな可愛い女性に「大ファンです、カッコイイです!」と言われ、まんざらでもない気持ちになっていたら「私、美的感覚がねじ曲がってるんです!」と言われてへこんだ。という塚地さんの話に対して、「でもな、お前、美男ばっかりモテるわけやないから! 塚地お前それ、電話番号とか聞かへんかったんか!?」と返しています。

これは、なぜその女性がその発言をしたのか? という部分に興味を持ち、そこからイメージを膨らませ「カッコイイ人が苦手な美女も世の中にはいる」というふうに連想したんじゃないでしょうか。

で、そこからさらに、そのあとの展開に興味を持つことで「電話番号は聞かへんかったんか?」という質問に発展したのだと思います。そして、その質問が塚地さんへのパスとなり、さらに会話が続いていったわけです。

 

他にも「相手をイジる」というテクニックも使われていますよね。

まあテクニックというのは大袈裟かもしれないんですが、塚地さんの「でも、ねじ曲がってるまで言わなくても……」の発言に対し、「ねじ曲がってんねんもん、しゃーないやんか(笑)」と返している部分です。

これは塚地さんを「ねじ曲がっている」とイジっているわけですが、このように適度に相手をイジると心の距離が縮まりやすくなります。できれば相手にも自分をイジらせると、さらに心の距離は縮まります。

とはいえ、「イジる」というのは使い方を間違えると相手に不快感を与えたり、傷つけてしまう可能性があるので注意が必要なんですけど、このテクニックが使いこなせるようになると "言い合える関係" が構築されて、居心地のいい関係が築けるようになるんですよね。

 

と、まあ、今回はこんな感じです。

では。

 

 

学校の勉強は何のためにするのか?

さて、今回はちょっとしたテクニックを紹介しようと思います。

まあタイトルにもあるように、ズバリ『学校の勉強は何のためにするのか?』についてのテクニックです。なのでこれは相手が学生さんの場合に限定されます。

(とはいえ、いろいろ応用はできますけどね。)

 

特に効果的なのが、自分の子供が学生の場合です。

僕自身、学生時代に「学校の勉強なんて将来役に立たないんだから、やったってしょーがないだろ」と思って、全然勉強してこなかったんですよね。

でも今では勉強の大切さは痛いほど分かりますし、もしあの頃に戻れるのなら、もっとちゃんと勉強しておけば良かったなと思います。

 

でも世の中の多くの学生は、勉強の大切さを理解していません。

そして、その原因は大人にあると思うのです。大人がちゃんと勉強の大切さを伝えられていないから、子供は勉強嫌いになってしまうのだと思います。僕自身そうでしたからね(笑)

 

そこで、今回は子供に勉強のヤル気を出させるテクニックをご紹介いたします。

 

「前置きはいいから早く教えろよ! このボケナスがっ!」って声が聞こえてきそうなので、早速本題に入りましょう。

 

 

<学生に勉強のヤル気を出させるテクニック>

 

まずは以下の会話をご覧ください。

父親と、その息子カイトくんの会話です。

 

父親「カイト、勉強は順調か?」

息子「うん、まあまあかな」

父親「そっか。でもまあ大変だよな」

息子「まーね」

父親「ところでカイト、勉強って何のためにやるか知ってるか?」

息子「ん……?」

父親「学校の勉強なんて、社会に出たら役に立たないとか思ってるだろ?」

息子「……うん。だって数学とか化学とか、役に立たないでしょ」

父親「まあ確かにな。実際、テストの点数とか、どの学校に行くかとか、そんなことで人生は決まらないからな。でもな、どれだけ真剣に勉強に取り組んだかってのは大きく影響するからな!」

息子「……?」

父親「なんでかって言うと、真剣にやればやるほど自分の弱い所だったり、イヤな癖も出てきたりするし。でも、そーいった部分とどう向き合うか、どう克服していくか、その過程がものすごーく大事で、その過程を通して自分自身も成長できるし、勉強の仕方も確立できる」

息子「……うん」

父親「それにな、はっきり言って、社会人になってからの方がもっと勉強が必要になるんだよ。でも多くの学生は、どの学校に行くかとか、どんな職業に就きたいかって悩んでるかもしれないけど、結論は1つ。どんな職業に就こうが、勉強しなくていい職業なんて1つも無い!」

息子「………」

父親「だから、今どれだけ真剣に勉強に取り組んでるのかってのが、これからの自分の人生の土台になっていくし、もし仮に第一志望の学校に行けなかったとしても、そんなのは全然関係なくて、その土台さえあれば、どんな学校でも勉強できるし、社会人になってからも、その土台によって沢山活躍できるようになる!」

息子「………」

父親「まあ簡単に言うと、学校の勉強ってのは、自分の人生の土台を作るためにやるものなんだよ。だから、カイト自身が自分の人生の土台を作りたいって思うなら、そのつもりで勉強してみな」

息子「……うん、わかった」

 

さて、今の会話は具体例の1つなのですが、はっきり言ってこれを話すと学生はメチャメチャ勉強のヤル気がアップします!

もちろん全員とはいきませんが、かなりの割合で勉強に対するヤル気がアップしますね!

 

ちなみに、ここでのポイントは「学校の勉強は人生の土台を作るためにやるもの」というのを伝えることであり、多くの学生が勉強嫌いになってしまうのは「勉強をやる理由を見出せていないから」なんです。

それなのにも関わらず、「勉強しなさい!」って口うるさく言うからイヤになっちゃうんですよね。

 

なので、勉強が、

・社会に出てからどう役に立つのか?

・自分の人生にどんな影響をもたらすのか?

といったことをちゃんと伝えてあげると、勉強に対する姿勢が変わり、ヤル気を出してくれます。

 

というわけで、もし機会があったら試してみてくださいね!

 

 

暗殺教室の作者 松井優征とデザイナー佐藤オオキの対談から学ぶ会話力

今回は漫画家の松井優征さんと、世界的に活躍されているデザイナーの佐藤オオキさんの対談から「会話力」を学ばせて頂こうと思います。

 

松井優征さんの代表作と言えば『暗殺教室』ですが、アニメや映画、実写化もされた作品ですよね。そんな暗殺教室をどのように生み出したのか? ストーリーをどのように作っているのか? などが語られています。

そして、デザイナーの佐藤オオキさんも、どのようにデザインのアイデアを生み出しているのか? その発想法や考え方が語られていました。

 

そんな2人の考え方が学べる対談でもあるのですが、やはり、それ以上に会話が上手いなって思ったので、今回は松井さんと佐藤さんの会話を学ばせてもらいましょう!

 

【対談】松井優征×佐藤オオキ

 

まずは佐藤さんが松井さんの仕事場へ向かいました。

とても大きな超高層ビルです。

 

そして、松井さんの仕事場を拝見した佐藤さんが言いました。

 

佐藤「いやー、全然印象と違いますね」

 

この発言は率直な感想ですよね。

ちなみに、この時点では、まだ本格的な対談は始まっていません。なので、いわゆる雑談に近い会話が続きます。

 

で、この発言は、「仕事場」という空間に興味を持つことによって生まれる発言なわけですが、これは話のキッカケを作るのに使いやすいので、"その場に興味を持つ" という意識を高めておくと話しやすくなりますよ。

というわけで、この発言が松井さんへのパスになり、次のような質問を引き出しました。

 

松井「どーいう感じを想像されてました?」

佐藤「なんか、もうちょっと、こう……雑然としてるかと」

松井「あははははは!」

佐藤「すいません! 失礼ですけど(笑)」

松井「いや、だいぶ片付けたほうではあるんですけどね」

佐藤「あー、そうなんですか(笑)」

松井「でもやっぱり、あのー、あれですね。綺麗にならないですね」

 

最初の質問は、佐藤さんの「印象と違う」という発言に対して、じゃあどんな印象を持っていたんだろう? という興味から生まれた質問なわけですね。

で、そのあとの佐藤さんの「雑然」という言葉から連想して、「だいぶ片付けた。でも綺麗にならない」というエピソードへと繋がったわけです。

 

そして、仕事場という空間のあとは、すかさず窓から見える景色に興味を持ちました。

 

佐藤「てゆーか、景色すごくないですか?」

松井「そーですねぇ。都庁から第二庁舎、パークタワーホテルまで、みんな同じ方が設計されてるじゃないですか」

佐藤「丹下健三ビューですね」

松井「はい、そうですね。全然そのー、系列も違うのに、同じデザインに組み込んでしまう、このエゴっぽさ。ヘッヘッヘ(笑)」

 

佐藤さんは窓から見える景色に対する感想を言ったわけですが、これは松井さんへのパスであると同時に、褒め言葉でもあるわけですね。

人間というのは基本的に認められたい生き物なので、自分のこだわりなどを認められると、ついつい嬉しくなっちゃうわけです。なので、会話の際は、相手のこだわっていそうな物事がなんなのかに注目し、その部分に興味を持って質問してみると、わりと盛り上がりやすくなりますよ。

 

それと、ここでは「丹下健三ビューですね」という返しをしていますが、この返しによって「あ、この人、わかってくれてる!」という感じで、松井さんも嬉しくなったのだと思います。ちなみに、この返しは「壁パス」ですね。

 

続いて佐藤さんは、デスクの上に置いてある銃(モデルガン)に興味を持ちました。

 

佐藤「ちょっと、いいですか?」

松井「はい」

佐藤「なんかあのー、普通にタブレットの隣にゴソッと置いてある……(笑)」

松井「あっははははは!」

佐藤「銃ですか?」

松井「はい(笑)」

佐藤「これはやっぱり、これ見ながら描くみたいな、そーゆうことなんですか?」

松井「だいぶそのー……」

 そう言いながら銃を手に取る松井さん。

松井「銃そのものというよりは、銃を持ってる、この手とかですね」

佐藤「はい」

松井「この手の形って、やっぱりそのー、ちゃんと持ってみないと分からないんで」

 ここで、銃を佐藤さんに手渡す。

佐藤「へえ〜! あ、重い!」

松井「そう、重量感とかも含めて」

佐藤「ああ〜そっか、重さによっても手の感じって変わるんですよね」

 

漫画に出てくる同じ銃を発見した佐藤さんは、まず、その銃そのものに興味を持ちました。そしてすかさず、「やっぱ、実物を見ながら絵を描いてるのかな?」という絵の描き方に興味を持ったわけです。で、それを確認するように質問したってわけですね。

それと、銃を手に取ったときの感想を佐藤さんは述べていますが、これも松井さんに対するパスになっていて、そのあとの「そう、重量感とかも含めて」という返しに繋がっています。

 

このように、"五感で感じたこと伝える" っていうのは、会話をするうえで非常に大事な要素の1つなので、なにか感じたことがあったときは、なるべく抑え込まずに伝えるようにしましょう!

あ、もちろん、明らかに失礼であろう発言は控えた方がいいとは思うんですけど、かといって空気を読みすぎるのも、あまりよくありません。まあ、そのへんの塩梅は経験で養うしかないですけどね。

 

とりあえず今言えることは、失敗を恐れないことです!

傷つくことを恐れて逃げるのは簡単です。でも傷つくことや失敗を恐れていたら、いつまで経っても成長しません。そうやって逃げているうちに時間はどんどん過ぎていき、気付いたときには10年、20年と経ってしまうのです。

そして、「ああ、あの時、思い切って挑戦しておけば良かったなぁ……」なんて思っても、過ぎた時間は取り戻せません。

てゆーか、たとえ傷ついたとしても、そんな傷いつかは癒えます。なので、果敢に挑戦していきましょーよ!

 

ってなわけで、少し話がそれてしまいましたが戻ります。

今度はデスクに貼られていた「キャラクターの設定表」へと話題が移りました。

 

佐藤「ああ〜、携帯電話の機種とか色も! おもしろい!」

松井「まあ(笑)」

佐藤「へえ〜、ここまで決めるんですね!」

松井「いや、もっと欲を言えば、携帯の裏のデコレーションとか、そーいうとこまで設定したかったんですけど」

佐藤「あっ! でも書いてある書いてある! カバーゼブラって!」

松井「えっへへへ(笑)」

佐藤「へえ〜、やっぱり何が書いてあるか分かんないすね」

松井「あははははは!」

 

デスクに貼られていたキャラクターの設定表を見た佐藤さんは「どんなことが書いてあるんだろう?」と興味を持ちます。そして、「ああ、携帯電話の機種とか色も決めてるんだ! へえ〜、おもしろいな〜!」という感じで感想を言ったわけですね。

で、その感想が松井さんへのパスにもなっていて、そのパスが松井さんの「本当はもっとこだわりたかった」という想いを引き出しました。

 

そして佐藤さんは、さらにキャラクターの設定表に興味を持ちます。

 

佐藤「カッパ62。忍者頭布65……」

松井「60番とか書いてあるのが、そのー、スクリーントーンというやつで」

佐藤「はあはあはあはあ」

松井「あのー、漫画に色をつけるやつ」

佐藤「はいはいはい、聞いたことあります」

松井「えーっと、貼るやつですね」

佐藤「シールみたいなやつですよね?」

松井「そうです、そうです」

 

先ほどの携帯の機種や色の他に、『カッパ62』『忍者頭布65』という数字を発見した佐藤さん。おそらく、こう質問しようと思ったのでしょう。「この数字は一体なんなんですか?」と。

で、そのパスを感じ取った松井さんは、すかさず説明したわけです。いうなれば、パスを先読みして前方へ走り込んだって感じですかね。

 

続いて佐藤さんは、さらなるパスを出しました。

 

佐藤「松井さんは、どこへ座ってらっしゃるんですか?」

松井「自分はここです」

佐藤「ああ、こっちなんですね」

 

この質問は、デスクがたくさんあるけど、松井さんの席はどこなんだろう? という興味から生まれた質問ですね。

そして今度は、松井さんの座っている椅子に興味が移ります。

 

佐藤「ああ、やっぱりアーロンチェアですね」

松井「アーロンチェアなんですよ」

佐藤「あれですよね、何巻だったかなぁ……8巻か9巻で、悪者が座ってるシーンてあるじゃないですか?」

松井「はいはいはい」

佐藤「でもあれ、ここクロムでしたよね?」

松井「そうですね」

 

まず佐藤さんは椅子のデザインに興味を持ったわけですけど、それは漫画に出てきた椅子と同じデザインだったからです。だから「ああ、やっぱり同じデザインの椅子なんですね」という感想が生まれました。

これは、佐藤さんがデザイナーであるがゆえに、やはり椅子などのデザインが気になってしまうのでしょうね。

で、さらに、「あれ? でも確か漫画では、この部分がクロムだったよな?」という疑問が湧き、それを確かめるべく質問したわけです。

そして、ここから会話が展開されていたと思うんですが、その部分はカットされていたので分かりません。なので次に行きます。

 

というわけで、ここからは、椅子に座っての本格的な対談が始まりました。

 

佐藤「暗殺教室、読みました」

松井「あ、ありがとうございます!」

佐藤「もうタイトルからして、すごいと思ったんですよ」

松井「(笑)」

佐藤「で、最初の先生に向かって、生徒が全員『起立』って立ち上がって銃を向けてる。あれって、どこからそーいう……発想したというか、どーゆったキッカケで暗殺教室、あの設定ですよね」

 

ここでは改めて「暗殺教室を読みました」ということを伝えるところから始まり、そしてまず感想を伝えました。

そして、あらかじめ用意していたであろう質問をぶつけたわけですが、ここで注目したいのが「なぜ、その質問が生まれたのか?」です。

まあおそらく、冒頭の生徒全員が教師に向かって銃を構える、というシーンに衝撃を受けたのだと思います。

で、そこから「なんでこんな設定を思いつけるんだろう?」という "作者の発想" に興味を持ったわけです。それが最初の佐藤さんの質問になり、松井さんへのパスになりました。

そのパスをもらった松井さんは次のように答えます。

 

松井「あのー、多分ホントに、最初だけは絶対ひらめきだと思うんですよ。そのー、デザインもそーだと思うんですけど」

佐藤「うんうんうんうん」

松井「最初に生徒が、ページぺらっとめくったら、一斉に起立して銃構えて先生狙ってたら面白くね!? っていう、その……」

佐藤「その1枚の絵から!?」

松井「そーです、そーです」

 

暗殺教室の一番最初の発想を語っているわけですが、この時に松井さんは少し表現に詰まる部分があります。しかし、ここで佐藤さんは「その1枚の絵から!?」とアシストしました。

このように相手が「えーっと、なんて言えばいいんだろうな……」という感じで表現に詰まった場合は、こちらが代わりに「要するに〇〇ってこと?」みたいなふうに言葉をアシストしてあげると、会話がスムーズになりやすいですね。

そんなわけで、会話は続きました。

 

松井「じゃあそれを、連載漫画として成立させるにはどーしたらいいかって思ったら、あのー、当然 次の瞬間 殺せちゃったら、まったく意味が無いじゃないですか」

佐藤「うんうん」

松井「そうすると、ずっと避け続けなきゃいけないから、そーしたらもう超スピードか超能力か、どっちかしかないと。で、えーと、じゃあその超スピードで避け続ける、バラバラバラバラやってる、そんな教室が隣にあったら、もう気になって授業にならないんですよ。その、あっという間にみんなに広まっちゃって大問題になる」

佐藤「ですね」

松井「じゃあ、どーすればいいかっていったら、離れの校舎にすればいいと」

佐藤「はははは! なるほど!」

松井「で、離れの校舎にするにはどーすればいいかっていったら、落ちこぼれにすればいいと。わりとそのー、一番最初の絵さえ出来れば、あとはもう、あのー、繋がってくるんですね」

 

この部分では、漫画のアイデアを形にするための思考プロセスが語られていたわけですが、この考え方は本当に勉強になるなって思いました。

それと佐藤さんの相槌もいいですね。「うんうん」とか「ですね」とかの相槌があることによって、松井さんも話しやすくなっているのだと思います。

 

で、この話が佐藤さんへのパスにもなっていて、そこからイメージを広げた佐藤さんは、次のような質問をしました。

 

佐藤「でも、そのシーンの段階では、そこまでの積(せき)は出来てないわけですよね?」

 

この質問は先ほどの「一番最初の絵さえあれば、あとは繋がっていく」という松井さんの話に対して、「なるほど、そーやって設定が出来たのか。でも、かといって、その段階で全てのストーリーが完成されたわけじゃないよね?」という感じの感想が浮かんできたわけです。

つまり、ストーリーの大枠がいつ出来たのか? という部分に興味を持ったわけですね。で、その感想というか、疑問と興味を確認する形で、松井さんに投げたってわけです。

そして松井さんは、こう答えました。

 

松井「いや、でもほぼほぼ、そこから一晩くらいで全部」

佐藤「一晩で! まさかの(笑)」

松井「はは(笑)」

佐藤「いやでも、アイデアってそーいうもんですよね」

松井「そーいうもんですね」

 

そーいうもんらしいです。

 

というわけで、このあとも対談は続くのですが、今回はここまでにしておきます。

では。

 

 

二宮和也と落合陽一の対談から学ぶ会話力

会話には大きく分けて3種類あると思っていて、それは「雑談」「相談」「対談」です。

 

「雑談」は、くだらないどーでもいい話だったり、昨日見たテレビの話だったり、まあいわゆる世間話とかですね。そして、この雑談はメチャクチャ大事です。

「相談」は、悩み事の相談はもちろん、話し合いも相談の類に入ると思います。例えば、夏休みの旅行はどこへ行く? とかもそうですし、世界平和のために今できることって何かな? というのを話し合うのも相談の類だと思うわけです。

そして「対談」は、一言で言えばインタビューですね。もちろん対談という言葉の定義はインタビューというわけではないですし、人それぞれ定義は違うと思うんですけど、ここでは分かりやすく「インタビュー」と定義しておきます。

 

で、会話力を上げるうえで非常に大事なのが「興味」だと思うんですよね。いかに相手に興味を持つか。いかに相手の世界観に興味を持つか。それがものすごく大事な要素だと思うわけです。

結局、会話が続かないのって "興味を持つ力が弱いから" なんですよね。なので興味を持つ力を鍛えるってのが、かなり重要かなと思います。

 

そんなわけで、興味を持つ力を鍛えるためにオススメなのが「対談」です。対談で重要なのは、いかに相手に興味を持つかですからね。その興味の度合いによって質問の質も変わってきますし、質問の質が変われば、会話の質も変わってくるわけです。

 

で、今回は、嵐の二宮さんと落合さんの対談を参考にしたいなと思います。

 

【対談】二宮和也×落合陽一

 

まず、対談は二宮さんのこんな質問から始まりました。

(ちなみに、二宮さんが落合さんの話を聞くという形式です。)

 

二宮「落合くんてさ、何者なの?」

 

これは、落合さんが色んな肩書きを持っている人なので、結局一言で自分を表すとしたら、何なの? という意味が込められているのだと思います。そして、そこに対する興味によって出た質問ですね。

この質問に対して、落合さんは次のように答えています。

 

落合「一番答えにくい質問なんですけど……でも、一般的に答えるときは大学の先生って答えてて……」

 

そして、この回答に対して二宮さんは「マジ?」と反応します。その反応に対し、落合さんは次のように返しました。

 

落合「大学の先生で会社経営してますって、だいたい僕は普通に言ってますけどね」

二宮「ああ〜、何者なのって言われると……」

落合「と、だいたい肩書きっていうか、普段いる場所、大学と自分の会社……あとはアートやってるんで、まあアートはどこでもできるんで、大学と会社って言うことが多いかな」

二宮「へえ〜!」

 

ここではリアクションというか、相槌がいいですね。「ああ〜」とか「へえ〜!」とか、本当に感心しているようにうなづいています。これも相手に興味を持っているからこそできることなんだと思います。

で、二人の会話は続きました。

 

二宮「でもメチャクチャ聞かれる?」

落合「メチャクチャ聞かれるし、何してるのって聞かれた時の僕の回答のほうが面白いですよ」

二宮「何してるの?」

落合「波動使いですってよく言ってますけど(笑)」

二宮「あはははは! だってさ、現代の魔法使いとかさ、魔術師とかって言われるじゃん」

落合「あれはホリエモンが付けたんですけど」

二宮「あはは! そーなんだ!」

 

ここでもやはり二宮さんのリアクションがいいですね。それと「メチャクチャ聞かれる?」という質問は、やっぱこういう質問は色んなところで聞かれてるのかな? という興味から生まれてくる質問なんだと思います。つまり、たくさんのインタビューを受けているだろう落合さんをイメージしてるんでしょうね。

そして、落合さんも会話を広げてますよね。「メチャクチャ聞かれる?」という質問に対し、「メチャクチャ聞かれるし、何してるのって聞かれた時の僕の回答のほうが面白いですよ」と返していますが、これは一般的な回答以外の答えもありますよ! というフリですよね。つまり、二宮さんへのパスです。会話ではこういったパスも大事ですよね。

そして、会話は続きます。

 

二宮「それはさ、結構言われる? やっぱり」

落合「やっぱり言われますね。で、魔法使いって何使えるんですかって、波動ならだいたいって言って。波動ってなんですかって、電波か光か音なら、わりと得意ですって」

二宮「へえ〜」

落合「その時点でだいたい話が噛み合わなくなってくるんですけど、でもやってることはシンプルで、音を出すか音を拾うか、光を映すか光を拾うか、ぐらいしかやってなくて」

 

ここでの二宮さんの質問は「やっぱり、いろんなところで魔法使いって言われる?」ってことなんですが、これもやはり興味ですよね。やっぱりいろんなところで言われてんのかなあ? という興味を持つことで生まれる質問ですよね。

で、この質問に対して、落合さんもただ答えを返すだけではなく、プラスアルファでよく聞かれる質問と答えを付け加えています。それによってさらに会話を発展させているわけです。

そして、この落合さんの話に対し、二宮さんは次のような感想を投げかけます。

 

二宮「でもさ、それがさ、普通の人はやってないわけじゃん」

 

この感想は、「音を出すか音を拾うか、光を映すか光を拾うか」というのを真剣に追求している落合さんに対し、普通の人はそんな追求しないじゃん。という素朴な感想を素直に投げかけているわけですけど、こういった感想を伝えるってのも大事ですよね。質問ばかりでは尋問みたくなっちゃいますからね。

まあ、そんな二宮さんの感想に対し、次のように会話が続きます。

 

落合「でも普通の人はカメラで写真撮るから、光拾ってるんですけどね」

二宮「でもさ、それをさ、無意識的にやってるじゃん」

落合「そうそうそうそう」

二宮「だから声もさ、振動で声が出てて、どこまで届いてとかっていうことをさ、真剣に考えたことってないよね」

落合「そーですね」

二宮「それは、何がキッカケだったの?」

 

ここでも二宮さんが感想を伝えていますが、ここでは先ほどの「電波・光・音」というキーワードと「無意識」というワードからイメージを膨らませて、そこから出てくる感想を述べているんだろうなって思います。

そして、その感想からくる疑問に対し興味を持ち、質問を投げかけたわけですね。つまり、普通は「電波・光・音」なんてものに興味を持たないだろうに、どうしてこの人は興味を持ったんだろう? という興味ですね。その興味が「何がキッカケだったの?」という質問に繋がります。

 

で、落合さんが「電波・光・音」に興味を持ったキッカケを話すわけですが、どうやら中学生の頃にエレキギターをやっていたそうで、しかし弾く方よりもエレキギターの分解に興味を持ったそうなんですよね。

それがどんどん発展していって、楽しくなってきて、東京大学で博士取って、その時に嵐の番組に出させてもらって、それで今は大学の先生をやってますって話をしていました。

そして、その落合さんの話に対して、二宮さんがリアクションを返します。

 

二宮「すごいね! だって俺と会ったの4年前なんだけどさ、そん時もう物を浮かせてたもんね」

落合「物浮いてましたね、はい」

二宮「あれって、どうなったの?」

 

この部分の「すごいね!」は、「へえ〜! そんな経緯があったんだ〜! すごいね!」って意味だと思うんですよね。で、それに加えて自分と会った時のエピソードも付け加えているわけです。それによってイメージを膨らませるキッカケにしたり、相手へのパスにもなります。

ちなみに今回の場合は、あの時の物を浮かせてたやつは、その後どうなったんだろう? という興味を引き出していて、その興味から「あれって、どうなったの?」という質問に繋がりました。

 

で、その質問に対して、落合さんが答えるわけなんですが、会場の左右で日本語と英語を分けて聞こえるスピーカーを作っているそうで、もう少しで世の中に出るそうです。

その話に対して、二宮さんがリアクションをします。

 

二宮「すごいね〜!」

落合「4年経ったんで、だいたい出来るようになってきました」

二宮「それはもう結構回ってきてるんだ」

落合「回ってきました」

二宮「何人ぐらいいるの会社は?」

落合「会社自体は今15人ぐらいかなぁ」

二宮「みんなそーいう人なの?」

落合「いや、僕系のエンジニアリングで波動好きみたいな人は5人ぐらいで」

二宮「5人もいるのっ!? 波動好きな人」

落合「5人ぐらいいるんです(笑)」

 

この部分は、やや質問攻めのようになってしまっている印象を受けますが、しかし興味はちゃんと持ってますよね。会社は何人くらいでやってるんだろう? そこで働いている人も落合さんみたいに波動が好きな人ばっかなのかな? という興味によって生まれる疑問を質問という形でぶつけているわけです。

で、会社の話から二宮さんはイメージを発展させて、次のような質問をしました。

 

二宮「今さ、落合くんとさ、似たような事とか思想とかを持ってる人ってさ、会社的に結構あるの?」

落合「同じような会社っていうのはすごく少なくて、何でかっていうと、だいたいみんな人工知能とかコンピューターサイエンスとかやってる人たちは、だいたいみんなロボットやっちゃうんで」

二宮「はあ〜」

落合「僕らはロボットとか動くものじゃなくて、音だけとか、光だけとか、形は無いけど現象は出てくるみたいなものをやってるから……」

 

先ほどの会社の話からイメージを発展させて、他にも落合さんと同じような事をやってる会社ってあるものなのかな? という興味を持ったわけですね。そしてその興味を質問としてぶつけたわけです。

続いて二宮さんは、こんな感想をぶつけます。

 

二宮「それ結構さ、エンターテイメント性の強い話じゃん」

落合「まあ、撮影・放送の機材として使ったりとか、そーいう風なことが多いですね」

二宮「でもさ、それってさ、何かそーいうところを見ないとさ、なかなかそこに辿り着かなくない? 例えば、テレビの現場を見てたとかさ」

落合「ああ、そうですね。だから……実際、自分が今、エンターテイメントの演出とかさせてもらったりとか、あとはテレビの現場とか来てると、すごく『あっ! ここって、これで出来るな!』とか思うこととか、そういうの多いですね」

 

まず、先ほどの「音だけとか、光だけとか」の部分から、おそらく二宮さんは自分たちのコンサートを連想したんでしょうね。ジャニーズのコンサートとかって音や光の演出がスゴイじゃないですか! だから、そこから「エンターテイメント性が強い」という感想が生まれたのだと思います。

で、その感想を投げることによって、相手へのパスにもなるし、話を広げたり深めたりするキッカケにもなりますよね。

 

ちなみに、ここでは「撮影や放送の機材として使うことが多い」というふうに、落合さんは返しました。で、その返しに対して二宮さんは、何でそういうところに着目できるんだろう? という感じで興味を持ったわけですね。そして、その興味を質問として投げたわけです。

それと、この質問の時に具体例を出してますよね。「例えば、テレビの現場を見てたとかさ」という具合に。これも非常に大事で、相手にイメージさせやすくするために非常に有効な手段です。

 

そして、この後、撮影現場の機材の話になり、そこからマイクの話に発展します。

 

二宮「マイクってさ、どーにかならないの?」

落合「なるはずなんですよ。だから研究はしてるんですけど」

二宮「いっつまでもさ、この……」

落合「そう! 腰にこいつが付く!」

二宮「このさぁ、サイズ変わんないじゃん」

落合「そうそうそうそう!」

二宮「俺でもまだ20年くらいだけど、変わってないもんね」

 

ここではマイク用の腰に付ける機械の話になりました。おそらく、落合さんの話を聞いて、それだけスゴイ技術があるならマイクの機械ぐらいどーにかならないもんかな? という部分に興味を持ったわけです。それを質問という形で投げました。

それに加えて、自分の感想も言っていますよね。この腰のやつが邪魔、というニュアンスの言葉だったり、芸能活動を20年やってるけど、20年前とサイズが変わってないもんね。という感想ですね。

その感想を伝えることで、落合さんもイメージが湧いて、次のような言葉が出てくるわけです。

 

落合「そーいうところを僕はすごく気になってて、だから例えば、さっきのスピーカーの話は、ここらへん(手前のテーブル)にスピーカーがくっ付いてたら、ここ(耳元)で音がするようにすれば、『落合さん、ちょっと上向いてください』『はい』みたいなことが、僕だけに届くように音声が届いたら、カンペいらないじゃないですか」

二宮「いらない!!」

落合「しかも、カンペって結構難しいのは、目を見てないとカンペって出てこないんですよ」

二宮「うん」

落合「でも、目に直接映像を出力する網膜投影の研究とか、うちのラボでもよくやってて」

二宮「え、どーいうこと?」

落合「つまり、眼球に映像が届けばいいので。あのー、網膜あるじゃないですか」

二宮「うん」

落合「網膜に直接レーザーで絵を描くとか。あとは直接映像がそこに結像するというか、投影される」

二宮「すごいね!」

落合「まあ、そうするとね、綺麗に見えるんですよ」

 

まず、先ほどの二宮さんの「マイクの機械が昔から変わってない」という感想から落合さんがインスピレーションを受け、自分はそういうところが気になっている、という話に発展しました。

で、じゃあ具体的に何がどう気になるのかって話に繋げていますよね。その具体例としてスピーカーの技術を応用すればカンペはいらなくなる、という話をしたわけです。

 

また、その話に対する二宮さんのリアクションもいいですね! 話している落合さんも、きっと話しやすかったんじゃないでしょうか。

そして、カンペの話から連想させて、目に直接映像を出力する網膜投影の話に発展させたって感じですね。

で、次は二宮さんのこんな質問から会話は続きます。

 

二宮「そのさ……どこまで見てんの? 今、2018年じゃん」

落合「技術的な話ですか?」

二宮「そう」

 

先ほどスピーカーの話や網膜投影の話をしていたわけですが、この話はつまり未来の話なわけですよね。で、その話を踏まえたうえで、この人は一体どのくらい先の未来まで見てるんだろう? って興味を持ったわけです。だからこその「どこまで見てんの?」という質問を二宮さんはしたんじゃないでしょうか。

ちなみに、この質問は相手の考えを聞く質問ですよね。

そして、その質問に対し落合さんは、2040年ぐらいに何ができてるかな〜ってのを考えながら研究していると答えました。つまり、約20年後の未来を見ているってことです。1995年くらいに研究していたことが、今の世の中に出ているってことも言っていました。

で、この落合さんの話を聞いた二宮さんは、新たな興味を持ちます。

 

二宮「それってさ、言うといろいろ問題なの?」

 

この質問は、20後の未来を見ているという話を聞いて、じゃあ20年後の未来に向けてどんな研究をしてるんだろう? 20年後の未来はどんな技術が出てくる可能性があるんだろう? といった興味を持ったわけですね。

で、そのうえで、でもそれって公の場で言ったらマズイのかな? という疑問が出てきたわけです。だから「それって、言うといろいろ問題なの?」という聞き方をしたんだと思います。

その質問に対し、落合さんは次のように返しました。

 

落合「いや、別に、よくそんなことばっか言ってますけど……例えば、5Gの回線がくるのって、あと2年後とかなんですよ」

二宮「うん」

落合「そうなってくると、携帯電話で動画……今よく止まっちゃうじゃないですか」

二宮「うん」

落合「あれがほとんど止まらなくなるんで、もうずーっとかけっぱなしで動かすとかいうのは、全然できるようになると思います」

二宮「へえ〜!」

落合「そーすると、恐ろしく世の中はかどるんですよね。一番はかどるのは多分医療とかだと思うんですけど」

 

ここでも二宮さんのリアクションが素晴らしいなって思いました。それと話を聞いている時の態度ですよね。本当に興味を持っている感じが伝わってくるような態度なんですよ。だから落合さんも話しやすいんだと思います。

で、そのあとは、具体的にどう医療がはかどるかって話が繰り広げられました。

 

そして、話題のテーマが変わり、聴覚障害のある人たちに音楽を楽しんでもらうための研究と、オーケストラによる音楽会の映像を2人で見ます。

その映像を踏まえたうえで、二宮さんのこんな質問から会話が始まりました。

 

二宮「耳で聴かないっていうのは、どこで聴くの?」

 

この質問は、普通は耳で聴くわけだけど、その機能が失われた状態で一体どうやって聴くんだろう? という素朴な疑問と興味から生まれた質問なんだと思います。

その質問に対し、落合さんは答えました。

 

落合「まあ、体全体ですかね」

二宮「さっき参加してた人が言ってたような?」

落合「……なんか、音楽っていうのは耳で聴くものだけではないっていうのは、僕はずっと思ってて。目で聴くものだし、体で聴くものだし、耳 "でも" 聴くものなんですけど」

 

体全体という落合さんの回答に対し、それはさっき映像の中で参加者さんが言っていたような感じなのかな? という疑問と興味を持ったのだと思います。

そして落合さんも、二宮さんの質問からイメージを膨らませ、『音楽を聴く』ということについての自分の考えを述べたわけですね。

で、このあとは、耳が聴こえない子供たちに協力してもらったエピソードを話していました。その話を聞いた二宮さんは、こんなリアクションを返しています。

 

二宮「ああ、そーなんだ。そこでじゃあ『行ける!』じゃないけど、これはちょっと形になるなっていうのは、そういうところで、いろいろ数を重ねていくの?」

 

この質問は、落合さんのエピソードを聞いたうえで、「これなら耳の聴こえない人でも音楽を楽しめる!」っていう確信は、今話してくれたような実験を繰り返すことで深まっていくんだね。という感じの確認の意味を込めた質問なんだなって思います。

つまり、落合さんの話に対する理解を示すためのリアクションなんですよね。それによって、「ああ、この人はちゃんと自分の話を聞いてくれてるんだな」と落合さんも安心するわけです。また、落合さんに話の続きを促すパスにもなるってわけですね。

で、この二宮さんの質問に対し、落合さんはこう返します。

 

落合「そうですね。だから大人だったら意義に共感してくれれば納得してくれるんですけど、子供は意義も納得も関係なく楽しいか楽しくないかだけなんで、それはね『ああ、なるほどな』って思って。なんか子供が楽しそうなやつは、そのまま使おうって、結構やったりしてますけどね」

 

ここでは二宮さんの理解に対し、「そうですね」と肯定から入っています。そして、二宮さんのパスを受け取った落合さんは、連想的に理由を話し始めました。なぜ大人じゃなく子供に協力してもらったのかという理由ですね。

また、この理由を話すことで、二宮さんに対するパスにもなるわけです。

で、そのパスを受け取った二宮さんはイメージを膨らませ、「だけど難しそうだなぁ」という感想を持ち、その感想を質問という形で次のようなパスに変えました。

 

二宮「でもさ、そこって難しさは無いの? だって落合くんは聴こえるわけじゃん」

落合「はい。それは非常にいいご質問ですね。その通りで、僕は耳が聴こえるから、完全にその人の気持ちになれないんですよ」

二宮「うん」

落合「で、仕方ないから耳栓とか突っ込んでやるじゃないですか」

二宮「うん」

落合「あーつまらん、わからん! とか言って試行錯誤するんですけど(笑)」

二宮「あははははは!」

落合「えっとね、最後はね、あれしてましたね。YouTubeを無音で見るってことを、ずっとしてて」

二宮「ああ〜〜〜!!」

落合「クソつまんないんですよ。オーケストラを無音で見ると」

二宮「あははははは!」

落合「で、クソつまんねーなこれって思って、これをどう面白くするかってゆうようなことを、ずっと考えてて」

二宮「はあ〜! そっちなんだね! そのー、擬似的に音を出さないっていう環境を作って、実際やるであろうものを見るわけだ」

落合「そう。で、つまんねーなって思いながら」

 

ここでは落合さんの研究のプロセスに興味を持ったわけですよね。で、そのプロセスをイメージして「きっと難しいだろうなぁ」って思ったわけです。だからこその「難しさは無いの?」という質問なんですよね。

さらに、「だって落合くんは聴こえるわけじゃん」という具体例を付け加えているところも素晴らしいですね。その具体例によって、より良いパスが落合さんに渡りました。

で、そのパスを受け取った落合さんは、どう苦労したのか、その苦労とどう戦ったのか。という話を展開させたわけです。

 

それと、落合さんの話に対する二宮さんのリアクションもいいですね。まあ、何回も言ってますけどね。でも大事なので、何回でも言います!

そして、ここでも落合さんの話に対する理解を示していますよね。「擬似的に音を出さないっていう環境を作って、実際やるであろうものを見るわけだ」という部分です。ここでは落合さんの話を、少し違う角度から要約して理解を示していますね。

 

その後、アイデアに関する話題へと発展していきました。

 

二宮「じゃあ、アイデアの生まれてくる瞬間とかさ、アイデアを作るやり方とかってさ、どこを最初対象に考えるの?」

落合「最初対象の人は、エクストリームユーザーって僕結構重要だと思ってて、どういう意味かっていうと、世界に1人か2人か、もしくは10人くらいしかいないけれど、彼が必要なものっていうのが社会にとってやがて必要なものである人っていうのがいるんですよ」

二宮「へえ〜!」

落合「例えばそれは耳が聞こえない人かもしれないし、腕が無い人かもしれないし、足が無い人かもしれないんですよ」

二宮「うん」

落合「で、一番いい例はパラリンピックとかで、パラリンピックで走ってる人って、義足カッコイイじゃないですか。ナイフというかカミソリみたいな感じで」

二宮「うん」

落合「で、でも、そんなに競技人口多くないし、でも彼が走るところで使われた義足っていうのは圧倒的に社会に対してインパクトもあるし、かつ、すごい難しい条件を解いてるわけですね。100メートルをすごい早く走るとか」

二宮「うん」

落合「で、そういったようなユーザー層っていうのを考えて見てると、なんか普段、例えば、100万人が使うアプリケーションを作ろうって思ってらた、ぶっ飛んだものは出てこないじゃないですか」

二宮「うん」

落合「つまり、1人のユーザーとか10人のユーザーとか100人のユーザーが楽しいっていう条件の方が、はるかに面白いっていうか、そーいうところをよく最近は見てますね」

二宮「へえ〜!」

落合「昔は見た目もそんなにカッコ良くする必要もなかったし、機能が最低限できてれば、他のこと努力しなかったじゃないですか」

二宮「うん」

落合「だけど今っていうのは、もうそこをカッコ良くすることがカッコイイのであると僕は思っていて」

二宮「うんうん」

落合「で、そこに力を注ぐと、なんか普段ではありえないような条件が出てくる。だから、耳が聞こえない人が楽しむ音楽会ってあったら、そりゃカッコイイし、楽しいなって思って」

二宮「うーん!」

落合「逆に言うと、じゃあそれで耳が聞こえない人と耳が聞こえる人が、一緒に見てどっちも楽しくする条件ってなんだろうって探してみたりとか」

二宮「へえ〜!」

落合「その方がね、耳が聞こえる人だけが集まってるより、明らかにエキサイティングですからね」

二宮「確かにそーだよねぇ」

 

まずはじめに、二宮さんは落合さんのアイデアの生み出し方に関する質問をしていますが、これはおそらく、今までの話を聞いていて「どこからそういった発想が生まれてくるんだろう?」といった部分に興味を持ったのだと思います。

で、そこから落合さんが自分の考え方を話すわけですが、ここで注目したいのが二宮さんの聞き方ですね。途中で余計な言葉を挟まず、かつ、ちゃんと相槌をしたり、興味を持って聞いている姿勢が見られます。なので落合さんも、どんどん自分の考えを出せたんでしょうね。

 

それと、ちゃんと相手が話したいことあるというのを察するのは大事ですよね。今回の場合だと、落合さんの中にアイデアの発想に関する考えがあって、それがどんどん出てきたわけですが、その話を途中で止めずにキリの良いところまでちゃんと聞いていた二宮さんは、さすがだなって思いました。

よく話の途中で口を挟む人っているじゃないですか。すぐ自分の話に持っていこうとする人。あれはよくないので、そうならないように注意しましょう。

 

で、この落合さんのアイデアの生み出し方を聞いたうえで、二宮さんに新たな興味が生まれます。

 

二宮「じゃあさ、落合くんにとって、いわゆるざっくりとね、ざっくり研究っていうのは、人を幸せにする故の研究なの?」

落合「いや、もう研究に関しては、僕が興味あるか無いかですね」

 

ここでの二宮さんの質問は、今までの話を聞いたうえで、いろいろアイデアを生み出して、それを研究して、いろんな人たちの役に立つものを作っているわけだけど、そーなるとやっぱり人の役に立つっていうのが根底にあるのかな? という疑問と興味を持ったわけです。おそらく。

しかし、落合さんの答えは「NO」でした。「自分が興味あるもの」というのが研究の原動力のようです。まさに "好きこそ物の上手なれ" という感じでしょうか。

まあ、とにかく、落合さんの答えを聞いた二宮さんは、そこからイメージを膨らませます。

 

二宮「それが、じゃあ社会とか一般的なものに対して、どういうイメージを与えようとも、自分が研究したかったからやっているっていうわけなんだ」

落合「はい、研究したいからやってる。しかしながら、たまにそれが社会の役に立ってるっていうのはあります」

二宮「結構パーセンテージ高い?」

落合「高いですね。なんか知らないけど日本が高齢化社会になってから、僕のプレゼンスは上がった気がします。だから耳が聞こえない、目が見えない人が増えるんですよ」

二宮「うんうん」

落合「そうすると、オーディオ・ビジュアル、僕専門なんで、カメラで撮る、マイクで取る、スピーカーで出す、プロジェクターで出すってゆうようなことが、意外とこの社会にとっては必要なことの1つになってきてるというか」

 

先ほどの落合さんの回答「僕が興味あるか無いかですね」に対して、二宮さんはイメージを膨らませ、少し別の角度から理解を示しました。

それが「社会とか一般的なものに対して、どういうイメージを与えようとも、自分が研究したかったからやっているっていうわけなんだ」という二宮さんの質問というか、確認の意味を込めた発言になったのだと思います。

 

で、その発言に対し、落合さんは「でもそれが、たまに社会の役に立っている」と返すわけですが、これがまた二宮さんへのパスにもなっているわけです。

会話をする際、自分が話す側に回ったときは、相手にイメージを膨らませやすくなるようなパスを出すっていうのを心がけるといいですよね。

もし質問されたことに答えるだけだったら、質問した方も次に何を話せばいいか分からなくなってしまいますし、会話が続かなくなる原因にもなってしまいます。なので、自分が話す側のときは、なるべく相手のイメージが膨らみやすくなるようなパスを出すことを心がけるといいと思いますよ。また、これは相手への思いやりでもあります。

 

で、ここのあとは少し話題が変わって、落合さんのプライベートに関する話になっていきました。

 

二宮「いわゆる、そのー……自分のやりたいことっていう、プライベートとかの区切り方っていうのは、どうしてるの?」

落合「いや、プライベートの区切り方とかまるで無くて、ずーっともうワークアズライフって言ってるくらいですけど、なんかライフとワークは、もうほぼ渾然一体で」

二宮「うん」

落合「だから、なんか、そうっすね。なんか……よく、まあ……たまに困ることもあって」

二宮「うん」

落合「なんだろな……あのー、議論になりそうなことを、例えば家で妻と一緒にいる時とかに、妻に俺が家を出る10分前から、そういう議論しそうなことはふらないでとかは言ったりとか」

二宮「へえ〜!」

落合「だからその、家を出る10分前から俺、集中スイッチが入るんで、余計なこと入ると、もうわけわかんなくなるんですよ。例えば、物忘れるとか」

二宮「うんうん」

落合「あとは何だろ、うーん……遅刻するとか」

 

最初の「プライベートの区切り方は?」という質問は、仕事とプライベートの切り替えはどうしてるんだろう? という、落合さんの私生活に興味を持つことによって出てくる質問なんだと思います。

で、この質問、つまり二宮さんのパスに対して、落合さんはただ受けるだけではなく、プラスアルファで仕事とプライベートを区切らないことによる弊害も語っていますよね。これは二宮さんのイメージを膨らませやすくするためのパスにもなっています。

 

あとは、やっぱり二宮さんのリアクションがいいですね。「うんうん」とか「へえ〜!」というリアクションが『話を聞いていて楽しい』という雰囲気を醸し出しています。それによって、落合さんも話しやすくなっているように見えますね。

そして、話は続きます。

 

二宮「それって、もうすごい小さいレベルのもの? 例えば『今日なに食べる?』とかっていうことも」

落合「あーそうそうそうそう! そういうのダメです(笑)」

二宮「全然ダメなんだ」

落合「全然ダメ! あのー、なんかもうその時点で、遅刻リスクが50%増加したりするんで」

二宮「そーなんだ!」

 

ここでは、先ほどの「家を出る10分前から集中スイッチが入るから、余計なことを言われると、わけがわからなくなってしまう」という話に対し、じゃあそれはどのくらいのレベルのものなんだろう? すごく小さいレベルのことでもダメなのかな? という部分に興味を持ったわけですね。

で、その興味を質問という形で投げたわけですが、この時に具体例を出していますよね。「例えば『今日なに食べる?』とかっていうことも」の部分です。

このように具体例を出すことによって、相手のイメージを膨らませる助けになるわけですね。

 

そしてこのあとは、集中しているとき以外は結構のほほんとしている。家でぼーっとしてるときもある。集中に緩急がある。というような話が展開されました。

で、そのあと、落合さんの「食」に関する話になります。

 

二宮「でも、グミなんでしょ?」

落合「グミはよく食べてます」

二宮「すげーグミ食べるんでしょ?」

落合「グミは、すげーよく……あっ! つぶグミだっ!!」

 

この「グミを食べるんでしょ?」という二宮さんの質問は、先ほどの『今日なに食べる?』というワードから連想されたものなんじゃないかなと思います。

そして、このタイミングで、お皿に入った『つぶグミ』が登場し、落合さんのテンションが上がりました! で、2人はグミを食べ始めます。

 

二宮「これが好きなの?」

落合「これは、わりと好きです」

二宮「グミが主食なの?」

落合「……食べてる回数で言ったら、えーと、昼とおやつに食べてるから、1日2食はグミ食ってますね」

 

2人でグミを食べながら二宮さんが「これが好きなの?」と質問するわけですが、これは、先ほどの「あっ! つぶグミだっ!!」という落合さんのリアクションを見て、このグミが好きなのかな? という興味を持ったのだと思います。

そして、お昼はグミだという発言に対し、さらに二宮さんは興味を持つわけです。

 

二宮「でも、お腹減らないの?」

落合「あ、グミはね、このくらいあれば、どのくらいだろう……多分ね、牛丼ミニ1杯分くらいはあるんじゃないですか。カロリー」

二宮「マジ!?」

落合「はい」

二宮「あ、じゃあ、全然大丈夫なんだ!」

落合「全然大丈夫、全然大丈夫。これ全部食いきればですけどね(笑)」

二宮「これ全部食い切れるかな〜(笑)」

 

先ほどの「お昼はグミを食べている」という発言に対し、グミだけでお腹減らないのかな? という疑問と興味を二宮さんは持ったわけです。それを質問という形でパスを出しました。

で、この二宮さんのパスに対し、ただ「大丈夫です」と返すだけではなく、なんで大丈夫なのかっていう理由を付け加えていますよね。これによって二宮さんがリアクションを取りやすくなっているわけです。つまり、パスを返しているわけですね。

これがもし仮に「いや、大丈夫です」だけだと、次に繋がりにくくなっちゃうわけです。とはいえ、二宮さんほどのコミュニケーション能力があれば平気でしょうけど。

 

まあ、そんなわけで、グミに関する話題は続きます。

 

二宮「でも、こういうので、糖分も取れるわけでしょ?」

落合「もう糖分とたんぱく質の塊ですよ。ゼラチンだから」

二宮「そういうことだよね」

落合「はい」

二宮「ってことはさ、もうそーいう頭を働かすってことに関してはさ、もうこれで十分なの?」

落合「十分十分。かなりいい感じだと思いますよ」

 

ここでは、先ほどの『牛丼ミニ1杯分』という話を踏まえたうえで、グミで十分お腹は満たされると。そして頭も働かせることができる。という感じで連想的にイメージを膨らませて、落合さんの行動に対する理解を示すような、そんな確認の意味を込めた質問が行われています。そのあとの質問も同様です。

そして、落合さんの「いい感じだと思いますよ」という返答に対し、二宮さんがリアクションをしました。

 

二宮「へえ〜、でもすごいね! そーいうこと考えるんだ!」

落合「なんかいろいろ試してるんですよ。生活の中でいろいろ試すんですけど、最適解にこれが一番近いかなーって気は……」

 

先ほどの「頭を働かせるにはグミで十分」という話に対して、二宮さんがリアクションしたわけですけど、ここで注目すべきは「そーいうこと考えるんだ!」という部分ですね。これが落合さんへのパスになっています。

で、見事そのパスを落合さんは拾ったわけです。生活の中でいろいろ試しているっていう返しがそうですね。

さらに、この返しは二宮さんへのパスにもなっていて、次の質問へと繋がります。

 

二宮「そうやっていろいろ試すってなるとさ、私生活でのさ、例えば何時間寝るのが一番僕にとってはベストであるとかさ、そういうことはちょっとずつ……」

落合「そう。いろいろ実験してて、でも今は3時間半ぐらい家で寝て」

二宮「うん」

落合「で、あとは移動中寝るのが一番かなって感じがしてますけど」

二宮「その移動中って何分くらいなの?」

落合「45分×2、ぐらいですかね」

 

ここでは先ほどの落合さんの「私生活でいろいろ試す」というパスを二宮さんが受け取りました。そしてイメージを膨らませて、じゃあ他に睡眠とかも実験してるのかな? っていう部分に興味を持ったわけです。

で、「移動中寝る」という部分では、単純に「移動中に寝る? それって結局何分なの?」という疑問と興味を持ったんでしょうね。

そして、ここから睡眠に関する話に繋がっていきます。

 

二宮「それぐらいが一番スッキリしてるってこと?」

落合「スッキリしてる」

二宮「すごいね! じゃあ、あとはもうフルフル動いてる感じ?」

落合「あとはフルフル動いてる。いや、これで重要なのは、人間って睡眠を分ければ分けるほど、睡眠時間トータルでは少なくていいんですよ」

二宮「ふーん!」

落合「電球を発明する前の人類ってのは、暗くなったら寝るんで、そのあとは夜明けのタイミングで一回起きて、そのあと二度寝して、朝になるみたいな」

二宮「うん」

落合「なんで、人類2回か3回寝るのは、わりと向いてるんですよ」

二宮「へえ〜」

落合「で、これは科学的かどうかは知らないけど、僕の体にもやっぱり3回寝るのが向いてて」

二宮「うんうん」

落合「そーやって生活作ってますね」

 

ここでの最初の質問は、先ほどの「家で3時間半寝て、あとは移動中に2回寝る」という話を聞いて、それくらい寝るとスッキリするってことか。という理解を示す意味で質問をしていますね。

で、そのあとに「じゃあ、あとはフルフルで動いてるってことなのかな?」っていうところに興味を持ったわけなんですが、これは同時にパスにもなっていて、そのパスを落合さんが受け取ってますよね。自分の睡眠に関する考えへと落合さんは話を繋げました。

そして、この睡眠の話を聞いた二宮さんは、さらにイメージを広げていきます。

 

二宮「それってさ、なんでさ、そんな普及しなかったの? その寝方って」

落合「やっぱサラリーマンが途中で寝ると、問題だからじゃないですか?」

二宮「あははははは!」

落合「だから僕はシエスタ導入すれば、働き方改革は何とかなると思ってるんですけどね(笑)」

二宮「確かにそーだよね! それを試してダメだったら辞めればいいんだから」

落合「そう、ダメだったら辞めればいい。だからシエスタは結構いいと思うんですけど」

 

先ほどの「2〜3回寝るのがいい」という話を聞いて、二宮さんはイメージを広げたわけです。その寝方がいいんだったら、なんでその寝方は普及しなかったんだろうと。その部分に興味を持ったわけです。

で、その質問が今度は落合さんのイメージを広げたってわけですね。

 

こんなふうに会話っていうのは、イメージの広げ合いでもあり、パスの出し合いでもあるわけです。いかに相手に良いパスを出すか。いかに相手が話しやすくなるような質問をするか。あるいは、いかに相手に次の質問が浮かびやすくなるような話をするか。

そんな心配りというか、思いやりが大事なわけであり、ある意味ゲーム感覚で楽しむこともできるわけです!

最初は大変かもしれません。でも、ようは慣れです。人間ってのは良くも悪くも『慣れる生き物』なわけですからね。まあ、この「慣れ」というのは "諸刃の剣" でもあるんですけど、どうせだったら良い方向に使っていきましょうよ!

 

さて、2人の話のテーマは少し変わって、デジタルネイチャーについての話になりました。

 

二宮「デジタルネイチャーって言ってるじゃない」

落合「デジタルネイチャーって、はい」

二宮「これをずっと提唱してる……」

落合「ずっと言ってますね。研究室作ってから」

二宮「ね。あれはさ、ざっくり言うとさ、どういったものなの?」

 

この質問は落合さんの提唱しているデジタルネイチャーとは一体どういうものなのか? という部分に興味を持ったのだと思います。

ただ、ある程度は二宮さんも分かっていると思うんですよね。しかし、改めて落合さんの口から考えを聞きたいと思ったんじゃないでしょうか。まあ、そのへんは、テレビの企画ですからね。視聴者のための質問でもあるのでしょう。

そんなわけで、落合さんのデジタルネイチャーへの考え方が述べられました。

 

落合「それは何なのかっていうことを考えると、植物が生まれてきたあと、地球って酸素増えたじゃないですか」

二宮「うん」

落合「つまり植物が二酸化炭素吸って、酸素出すからね」

二宮「うん、出す」

落合「で、あんなふうに、今コンピューターを人間ってやつが発明して、植物が酸素出すように地球を作り変えようと今していると」

二宮「うん」

落合「それは何なのかっていったら、人間にとって都合のいい自然なんですよ。人間にとって都合よく目的地にたどり着きたいとか」

二宮「うんうん」

落合「人間とって都合よく他人とコミュニケーション取れたりするような自然。というデジタルネイチャーっていう、1個おっきな自然の中で我々は今生きているんだなーと思って」

二宮「我々はもうそこにいるの?」

落合「デジタルネイチャーに、もうほぼいるんですけど」

 

さて、落合さんのデジタルネイチャーに対する考え方が述べられたわけですが、ここでまず注目したいのが、二宮さんの相槌です。ちゃんと興味を持って聞いている、という姿勢が伺えます。

で、この落合さんの考えを聞いたうえで、二宮さんはこう思ったんでしょうね。「落合くんがイメージしているデジタルネイチャーには、もう今の人類はいるのかな?」と。

そして、そこに興味を持ったからこその「我々はもうそこにいるの?」という質問に繋がったわけです。

で、落合さんの回答に対し、二宮さんはさらに興味を抱きます。

 

二宮「それはさ、いいことだって話?」

落合「いや、うーん……なんかもう、そうなっちゃうからしょーがないって話だと思うんですけど」

二宮「ああ〜」

落合「で、一昔前だったら、カーナビで目的地に向かうときに、カーナビのほうに全幅の信頼を寄せることって無かったじゃないですか」

二宮「うん」

落合「けど僕らって今、ナビのほうが自分より詳しいですよね」

二宮「うんうん」

落合「だから、あのー、なんか、まあグーグルの言われた通りに歩いてれば対象に着くってこともあるし、コンピューターの中にある世界も正しいと思って生きてるんですよ」

二宮「うん」

落合「で、それはもうどんどんネイチャーに近づいてるっていうか、あのー、デジタルっていうものと、デジタルじゃないものの区別がほぼ無くなって、デジタルネイチャーになりつつあるっていうか……」

 

このパートでの最初の質問は、今後どんどんデジタルネイチャー化するって話を聞いたうえで、「だけどそれは人間にとっていいことなのかな?」という疑問を持ったわけです。

つまり、デジタルネイチャーを踏まえたうえでの人間の未来に興味を持ったわけですね。で、その興味を質問という形で落合さんへパスを出したわけです。

 

そして、そのパスを受けた落合さんは、質問への回答に加えて、プラスアルファでカーナビなどの具体例を話したわけですが、今度はそれによって二宮さんのイメージを膨らませる助けになるわけですね。まさに会話のキャッチボールです。

「おいおい! さっきからパスパス言ってたくせに、急に野球かよ!」ってツッコミが聞こえてきそうですが……。まあ、あたたかく見守ってやってください。

 

sate、おっと間違えました。

さて、落合さんのデジタルネイチャーになりつつある、という話を聞いた二宮さんは、こんな質問をします。

 

二宮「そーするとさ、この人間ていうものは、どういうふうになっていくと思うの?」

落合「人間……どうだろう。なんか、まあ、他人に対して無理強いしない無頓着な人が増えると思うんですけどね(笑)」

二宮「フハハハハハ!」

落合「なんか、ほら、イルカとかクジラとかって、人間襲ってきたりとか全然しないじゃないですか」

二宮「うん」

落合「そんな襲う理由もないからだと思うんですよね」

二宮「うんうん」

落合「なんか、ある程度ピースな世界がそこに広がってて、そういうふうに人類もなれたらいいなとは思うんですけどね」

 

ここでの二宮さんの質問は、先ほどの落合さんの話を聞いたうえで、じゃあデジタルネイチャーな世界になるにつれて、人間ていうのはどうなっていくんだろう? という人間の未来に興味を持ったわけですね。

まあ、先ほども人間の未来に関する質問はしていましたが、今回は少し違った角度からの質問になります。

 

で、この質問に対し落合さんはイメージを膨らませ、未来を想像してみたわけですね。

そして、『無頓着な人が増える』というワードからさらにイメージを膨らませ、そういう人が増えたときの世界の話を、イルカやクジラの例を交えて話したわけです。

また、これが二宮さんへのパスにもなっていて、次のような質問に繋がっていきます。

 

二宮「今はまだやっぱり、ちょっとトゲトゲしてる?」

落合「ああ、トゲトゲしてるでしょうね。何かを奪わないと成立しないと思ってるからだと思いますね」

二宮「それは何でなんだろ?」

落合「なかなか資源が足りないからじゃないですかね」

二宮「資源?」

落合「資源。誰かによって占有されたりとかすることによって、お互いに奪い合わなきゃいけないと思ってるからで。でもそのうちテクノロジーが、それを解決していく問題の1つだと思いますけどねぇ」

 

最初の二宮さんの質問は、理解を示すというか、確認の意味も込めた質問なんだと思います。イルカやクジラのように人類も平和になれたらいいな、という落合さんの話を聞いたうえで、「じゃあ裏を返せば、今はまだ平和じゃないってことだよね?」という確認と理解を示す意味での質問になっているわけです。これを『逆説のテクニック』と言います。

とはいえ、『逆説のテクニック』という名前は、今パッと思いついて付けた名前なんですけどね。まあこれは、相手の発言に対し、逆の視点から言い直すことで、理解を示すというもので、まあそこそこ使えるテクニックです。

一応、他にもいろいろあるんですけど、ちょうどいいタイミングが現れたら、そのとき紹介しますね〜!

 

で、話を戻して、二宮さんからのパスを受け取った落合さんは、質問の回答にプラスして、その理由を語りました。

その理由というパスをもらった二宮さんは、すかさず興味を持ちます。「なんで奪わないと成立しないと思ってるんだろう?」とね。で、それが「それは何でなんだろ?」という質問になったわけです。

そして、落合さんは「資源が足りないから」という話をするわけですが、これもまた二宮さんへのパスになっていて、次の質問へと発展していきます。

 

二宮「それは、もう全人類が、いわゆる平均的に……」

落合「まあ平均かどうか分からないですけど、お互い満ち足りる程度にうまく最適化されてくと思うんですけどね」

二宮「ああ、そーなんだ!」

落合「だと思いたい」

二宮「まあそーだよね。そのために生まれてきたものとして、言われたいもんね」

落合「そうそうそうそう」

 

ここでは先ほどの「解決していく問題の1つ」という落合さんの話を聞いて、じゃあその問題を解決できれば奪い合いはなくなるってことか。それはつまり、人類が平均化されるってことなのかな? ということを瞬時に思い、興味を持ったのだと思います。

で、その二宮さんなりの結論を、確認の意味を込めて落合さんに投げたんでしょうね。

そして、その言葉のボールをキャッチした落合さんは、自分の考えを述べたわけです。それがまたパスにもなっていて、そのパスを受けた二宮さんが理解を示す言葉を投げます。そんなふうに会話は続いていくわけですね。

 

で、二宮さんのパスを受け取ることでイメージを広げた落合さんは、次のような話を続けました。

 

落合「でも、なんか、すげーガンバってる人が、すげーお金持ちでも別にいいと思ってて」

二宮「まあ、そりゃそうだよね」

落合「でも、別に、なんか、どうガンバっても普通の生活も送れないってゆうような状態が、あるのはおかしい」

二宮「それはおかしいね、確かに」

落合「で、そうじゃないようになってれば、みんな心に余裕ができ始めると思うんですけどね」

 

二宮さんのパスを受け取った落合さんが、自分の考えをさらに語っているわけですが、先ほどの二宮さんのように質問だけではなく『感想を伝える』っていうのも非常に有効な手段です。質問だけでは尋問のようになってしまって、相手に不快感を与えかねないですからね。

それを防ぐ手段の1つが『自分の感想を伝える』という方法です。まあ他にも方法はいろいろあるので、いいタイミングがあれば紹介していきます!

 

で、このパートでは、というか先ほどもそうなのですが、二宮さんのリアクションが光ってるなって思いました。やっぱ聞き手のリアクションがいいと、話す側も話しやすくなりますからね。

そして、このあとも会話のキャッチボールは続きます。

 

二宮「それって、やっぱりデジタルネイチャーの世界では、そのー……まあ、成立していくような……」

落合「と思いたい。でも、今、めちゃくちゃ安いスマホとかできてるし、スマホを使ってYouTuberになることは、全人類 誰でもできるかもしれないじゃないですか」

二宮「まあそーだよね。自分のチャンネルを持つってことがね」

落合「そう! 全人類 誰でもYouTuberになれる世界では、別にYouTuberに関しては、雇用機会っていうか、職業の機会は均等ですよね」

二宮「うん」

落合「そうやって考えていくと、どんどんそのー、誰でもそーゆー仕事は普通にできるのだっていうことは、あのー、スマホみたいにすごい安いプロダクトが世界中に撒かれるようになると、できるようになってくるんですよ」

二宮「はあ〜、そーなんだぁ」

 

ここでの二宮さんの最初の発言は、先ほどの落合さんの『頑張ってるのに普通の生活も送れない人がいるのはおかしい』『そうじゃなくなれば、みんな心の余裕ができる』という話を聞いたうえで、じゃあデジタルネイチャーな世界になっていくにつれて、そうなっていくのかな? という疑問と興味を持ったわけです。

で、その疑問と興味を頭で整理しながら、確認の意味も込めて落合さんに投げたって感じですね。

そして、二宮さんのパスをもらった落合さんは、そこからイメージを広げることでスマホとYouTuberの話に繋げていったわけです。

 

ところで、YouTuberといえば、最近では顔を出さなくてもできる「バーチャルYouTuber」ってのがいますよね。いわゆる「VTuber」というやつです。

今現在での時点で人気なのが「キズナアイ」とか「輝夜月(かぐやるな)」なんですけど、最近見かけたバーチャルYouTuberで、白のタンクトップを着た小太りのおっさんがいたんですよね。

で、中身もわりと普通のおじさんな感じで、言葉も少しなまってるわけですよ。でもチャンネル登録者数が結構いて、ビックリしたんですけど、すごい時代だなって思いました。

たぶん広告収入とかも、そこそこあるんじゃないでしょうか。しかも今後も伸びていくでしょうしね。いやー、すごい時代ですなぁ。

 

さて、話を戻しましょう。

落合さんの話を聞いた二宮さんは、そこからイメージを広げ、次のような質問を投げかけました。

 

二宮「そうするとさ、エンターテイメントの業界の未来っていうのは、どーゆーふうになっていくと思うの?」

落合「間口は広いですよね。だって誰でも "踊ってみた" の動画は投稿できるから」

二宮「うん」

落合「だって今、街中で踊るより、とか、歌うより、YouTubeに動画アップロードしたほうのが……」

二宮「はるかにね」

落合「はるかに効率がいいてっていうか」

二宮「うん」

落合「で、それが、昔はできなくて、だからよく地下道とか、その辺とかで歌ってたじゃないですか」

二宮「うん」

落合「で、そんなことする必要が無くなった時点で、機会均等になりつつあるわけですよ」

二宮「うんうん」

落合「才能が明らかに可視化されやすいっていうか」

 

先ほどの「誰でも自分のチャンネルを持てたり、どんどん世界に発信しやすい状況になっていく」という話からイメージを広げた二宮さんは、今度はエンターテイメントの未来に興味を持ったわけですね。

で、その質問が落合さんへのパスでもあり、そこから落合さんはイメージを広げ、「間口は広い」という自分の回答に対する理由を語ったわけです。

 

それと、ここで注目したいのが、

落合「だって今、街中で踊るより、とか、歌うより、YouTubeに動画アップロードしたほうのが……」

二宮「はるかにね」

の部分です。

これは落合さんが少し言葉に詰まった場面でもあるんですが、それを二宮さんが「はるかにね」と代弁してるんですよ。

こんなふうに、相手が言いたい言葉をうまく出せない場合は、代わりに言葉を代弁してあげて、相手が話しやすくなるようにアシストしてあげるといいですね。

まあ、さっきからちょいちょい似たような場面はありましたけどね。

 

そんなわけで、落合さんの話を聞いた二宮さんは、さらにイメージを広げていきました。

 

二宮「じゃあ今まで才能があると思って、いわゆるテレビに出てた人っていうのは淘汰されていく?」

落合「徐々に」

二宮「!!!!!」

落合「逆に言うと、トレーニングしないで運良く行った人ってゆうのは淘汰されるけど」

二宮「うん」

落合「しっかりコアなことずっとやってる人っていうのは、やっぱりなかなか追いかけても届かないから、それは相変わらず強いんだと思います」

二宮「あ、じゃあその縮図は変わらないような気がしてるんだ?」

落合「まあ、練習してないプレーヤーは、やっぱダメですからねぇ」

二宮「まあそーだよね」

 

ここでは「才能が明らかに可視化されやすくなる」という話からイメージを広げ、じゃあテレビ業界にも影響が出てくるってことかな? という部分、つまりテレビ業界や芸能人の未来に興味を持ったわけですね。

そして、その興味を質問という形でパスしたわけです。

 

で、落合さんも自分の回答にプラスして、逆の視点からの意見を述べたわけですが、それがまた、二宮さんへのパスにもなっていると。

ちなみに、ここでも『逆説のテクニック』が使われています。「淘汰される」という回答に対して、「逆に言えば、実力のある人は生き残る」という部分ですね。

 

さてさて、ここからは攻守交代。

落合さんが二宮さんに話を聞く、という形になりました。

 

【攻守交代】

 

まずは、二宮さんの俳優業に関する話題から始まりました。

・役に入るタイミングはいつなのか?

・納得のいかない部分があるときは、どう整理をつけているのか?

・役を演じる際に、映画とドラマで違いはあるのか?

・脚本に対して議論することはあるのか?

などの話が展開されていきます。

 

そして、そのあと、アイドルグループ「嵐」としての活動に関する話題へと移行していきました。

 

落合「東京ドームとかで歌ったりするときとかって、舞台の比じゃないじゃないですか。お客さんの数とかって」

二宮「うんうん」

落合「それって、どういう感覚なんですか?」

二宮「やっぱあれは、すごく特殊だよね。と思う。ってゆうのは、僕らが最近やらしてもらってるのは、ドームとかで5万人とかと向き合ったりするんだけど」

落合「だって5万人って、普通向き合わないですよね!?」

二宮「向き合わないじゃん」

落合「うん」

二宮「もうなんか、ほんと、ちっちゃい町ぐらいが一気に集まって、で、その人たちが同じ方向を向いてるっていうことが、すごく重要で。町ん中で、5万人の町があったとしても、みんな別に全然違う方を向いてる……」

落合「同じものに集中してることなんて、ほぼ無いですからね」

二宮「ほぼ無いじゃん。でも1つの町が同じものに、あそこまで集中するっていうのは、なんか……解明できないかもしんないけど、ものすごいパワーがあって」

落合「うん」

 

まずは最初の落合さんの質問です。これは、東京ドームなどで行われるコンサートに集まる人の数に興味を持ったことによって生まれた質問なのだと思います。

あれだけの大人数の前で歌ったり踊ったりするのって、どんな気分なんだろう? という興味を持ったんでしょうね。だって普通はそんな経験できませんからね。

 

で、二宮さんがその心境を語るわけなんですが、聞き手である落合さんは相槌以外にも、自分の感想を挟んだりしています。これによって、場が盛り上がりやすくなるわけです。つまり、二宮さんが話しやすくなるわけですね。

ちなみに、この手法を『合いの手』と表現する場合がありますので、覚えといてください。テストに出るかもしれませんので(笑)

 

さて、この二宮さんの話を聞いた落合さんは、リアクションを返していきます。

 

落合「なんかエネルギーすげーなと。僕あのー、ジャニーズのライブ何個か行かせて頂いたことがあって」

二宮「うんうん」

落合「で、なんか『やべえ!!』と思うんですよ。あの雰囲気」

二宮「うん」

落合「で、集中力 半端ないですよね、あれ」

二宮「半端じゃないね。だからやっぱ、そこのなんか……なんだか分かんないけど、そのー、みんなが集中して見るときの "モノの力" っていうのは、こっちの演者の側からしても、すごく……不思議だなーってゆうふうに思うんだけど、やっぱ疲れないもんね」

落合「ライブで?」

二宮「うん」

落合「あっ、そーなんだ!」

 

ここでは先ほどの「ものすごいパワーがある」という話から連想して、落合さん自身のコンサートを見に行った経験を語っているわけですが、そのとき感じた感情を伝えていますよね。

これは質問という形を取らないパスになっています。こういったパスの出し方をすることによって、まるで取調室のような質問攻めを防ぐことができるわけです。

ここもテストに出るかもしれないので、覚えといてくださいね(笑)

 

で、落合さんのパスを受け取った二宮さんは、改めて歌ってる側の視点からの感想を語りました。そして、そこから新たに「だけど疲れない」という感想が生まれたわけです。

この「なぜ疲れないのか?」というのは『エネルギーの循環が起きているから』なんですが、それを説明するとややこしくなるので割愛します。

 

というわけで、「あっ、そーなんだ!」という落合さんのリアクションに対し、二宮さんが引き続きエピソードを語りました。

 

二宮「だってさ、ちょっとさ、コンサート中にステージ上でさ、こんなことやったり(疲れたような仕草)するとさ、5万人の人がさ、がんばれーって言うんだよ」

落合「そう! がんばれーって言ってそう!」

二宮「あははははは!」

落合「言いそう(笑)」

二宮「そんな(笑)そんな状況ないじゃん!」

落合「ないないない(笑)」

二宮「町中で俺がこうやってて(疲れたような仕草)、そしたら町中の人がみんなで一斉に、がんばれー! がんばれー! っていう状況なんか絶対にないから」

落合「ないないないないない」

二宮「そんなさ、なんか、ゆったら不可解なことが、いっぱいあそこの中で起きるわけよ」

落合「確かに。涙ぐんだりすると、なんかね、みんな泣いたりするしね(笑)」

二宮「そうそうそうそう! ちょっと詰まったりするとさ、がんばれー! がんばれー! とか言うの。そんなの無いじゃん。生きてて」

落合「無いすね」

 

ここでの二宮さんの話は、いわゆる『あるある話』ですね。いってみれば「コンサートあるある」でしょうか。

この「あるあるネタ」っていうのは共感しやすいので盛り上がりやすいんですよね。なので、いくつか鉄板ネタを用意しておくといいかもしれませんよ。

 

一方で落合さんのリアクションもいいですね!

それと、途中で理解を示す返しを入れているのも、さすがだなと思いました。それによって、二宮さんもさらに話しやすくなっています。

そんなわけで、続きがこちら。

 

二宮「だから、全部終わりましたよって言って、ありがとーって言って、自分たちがステージから降りてちょっとすると、やっぱりみんなさ、そこの空気がさ、パーンと割れてさ」

落合「はい、集中力があっちこっちに行くじゃないですか」

二宮「そう。みんな帰り道を、こう携帯見たりとか何だりとかするようになると、急になんか疲れちゃうの」

落合「ああ、逆に!」

二宮「そう!『ああ〜』みたいな」

落合「はあ〜」

 

ここでは、先ほどの「コンサート中は5万人の意識が集中してるから疲れない」という話から発展して、「しかし意識が分散した途端、急に疲れがくる」という話に繋がっていきました。これも『逆説のテクニック』と同じような考え方ですね。

 

それと、二宮さんの「空気がパーンと割れて」のところで、落合さんが少し違う角度からの理解を示しています。「集中力があっちこっちに行く」のところです。

これも一種の『合いの手』であり、それによって二宮さんのイメージを広げる助けになっている、というわけですね。まあ、いうなれば「壁パス」です。

 

そんなこんなで、二宮さんの話を聞いた落合さんは、さらなるパスを出しました!

 

落合「現場で歌ってて、『ダメだ!』とかいうことってあるんですか?(笑)」

二宮「俺、すごい自分の中で、これはやってしまったなっていうのは、新曲を歌うってときに、歌詞が分かんなくなっちゃって……もう自分のパートだったんだけど、歌詞が分かんなくなっちゃって、これコンサートでどーしようと思ったときに、『俺はみんなで歌いたいんだよ』てゆうマインドみたいにして、こう客席にマイクを向けて」

落合「うん、向けて」

二宮「みんなで歌おうよ! みたいな」

落合「はい」

二宮「感じにしたんだけど、新曲だから」

落合「ははっ! 誰も知らない(笑)」

二宮「そう(笑)『え、何やってんの、あの人』みたいな(笑)」

落合「ははは! すげーおもしろい(笑)」

二宮「そうそう。もうどーにもならない! どーにもならない瞬間はあった!」

 

コンサートの話からイメージを膨らませた落合さんは、今度は「失敗した経験はあるのか?」という部分に興味を持ったわけですね。で、二宮さんは、いわゆる『失敗談』を語ったわけです。

 

ちなみに、失敗談を話すっていうのは、ある種の『自己開示』になります。

人って、どんな人なのか分からない人に対しては、恐怖心を持ちやすいんですよね。例えば、何を考えてるのか全く分かんない人って少し怖く感じませんか?

でも逆に、何が好きで、何が嫌いで、今までどんな人生を送ってきた人なのか分かる人に対しては、安心感があるじゃないですか。

 

他にも漫画やアニメのキャラクターに親近感が湧くのも同じ原理です。

1つ例をあげると、僕は『銀魂』が好きなのですが、登場人物に対し、とても親近感を感じているわけです。銀さんだったら甘いものが好きで、お化けや幽霊が苦手とか。あとは新選組の土方だったら、マヨネーズ好きのマヨラーとか。

 

もちろん、いろんなエピソードを見ているので、過去にどんな経験をしてきて、どんなことを感じてきたのかも知っているため、そのぶん親近感が湧くのも当然。

なので会話をする際は、なるべく自分のキャラクター性を出すようにするといいと思いますよ。あるいは、相手のキャラクター性を掘り下げることを意識するといいと思います。

 

さて、二宮さんの失敗談を聞いた落合さんは、次なる興味を抱きました。

 

落合「そーいう時って、みんな『ニノ天然!』とか言うんですか?」

二宮「いやいや、もうなんか、みんなこう……とにかく見ないふりしてペンライト振ってくれるんだよね」

落合「見ないふりして(笑)あはは!」

二宮「あははははは!」

落合「なんか、ああいう時のジャニーズの観客のリアクションて、美しいですよね!」

二宮「美しい。日本人だよね」

落合「うん。なんか慮って(おもんぱかって)頂けるってことですよね」

二宮「そう」

 

先ほどの二宮さんの失敗談からイメージを膨らませた落合さんは、今度はそのときの観客のリアクションに興味を持ったわけです。その興味を質問という形でパスを出しました。

で、二宮さんの回答を聞いた落合さんは、その場面を想像して笑ったわけです。あるいは、そのような場面を見たことがあるのを思い出して笑ったのかもしれません。

 

そして、そこから、失敗を見ないふりしてペンライトを振ってくれている客席をイメージしながら、その場面に対する感想を述べたわけです。それが「美しいでよね」とか「慮って頂いてるってことですよね」という発言になったんですね。

で、その落合さんの発言がパスにもなっていて、そのパスを受けた二宮さんは、次のような話に繋げていきました。

 

二宮「だからなんか、それが本当に、コンサートとかでもそうなんだけど、本当に敵がいないから、変な話、何を言ってもウケちゃうんだよね」

落合「まあ、そうでしょうね」

二宮「で、それってすごい一番恐くて、ここがなんか当たり前の普通のフィールド。まったくいろんな現場のフィールドと、まったく同じように捉えちゃうと、なんて俺は面白いヤツなんだと」

落合「あっはは! 確かに(笑)」

二宮「なんてそんな機転の利くヤツなんだ、とか。そーいうふうに思っちゃって、他の現場でそんなことやってると、なんにも面白くなかったり」

落合「うんうんうん」

二宮「そこにずーっと浸かっちゃうと、まあ変なふうに浸かっちゃうと、もうあぐらしかかけなくなっちゃうんだよね」

落合「うん」

二宮「だから自分たちも、こんな場所はホントにここしかないんだって気持ちでやってないと、映画とかやってるときも『えー大丈夫だよ。俺がやったら何とかなるから』ってゆうふうになっちゃったら、もうアウトだろうなって」

落合「ああ、確かに」

二宮「『いや、いいんでしょ。俺がここで一言ポーンって言ったら大丈夫だよ、ウケるから』なんてバラエティで、言ってウケてるバラエティ見たことないから俺は(笑)」

落合「あはははは! 確かに確かに確かに(笑)」

 

ここでは、先ほどの「ジャニーズのファンは優しくて暖かい」という話から連想して、「逆に弊害もある」という話に繋げていきました。

ちなみにこれも『逆説のテクニック』と同じ発想ですね。世の中には何事にも「表と裏」あるいは「光と影」があるので、この "逆のパターンを考える" という発想は、会話をするうえで大いに役立ちます。

 

それと、落合さんも本当に興味を持って話を聞いているので、二宮さんも話しやすいんでしょうね。

これはおそらく「自分の知らない世界を学びたい」という意識があるからだと思うんですけど、この意識は非常に大事です。この意識を持つことによって多くのことに興味を持てるようになりますからね。

会話において "興味を持つ" というのはメチャクチャ大事ですから!

 

というわけで、落合さんのリアクションによって、さらに二宮さんの話が引き出されていきました。

 

二宮「だからやっぱそこは、ここはもう本当に何よりも誰よりも、ここは貴重な場なんだって、ここはもう本当に夢の空間なんだって自分たちが思わないと、やっぱり間違った印象を与えかねないっていうのは、常にあるかな」

 

そして、この話のあとは、少し話題が変わります。

 

落合「アイドルって感じしないけど、アイドルですよね」

二宮「そーだねぇ」

落合「でもアイドルっていう状況と、映画俳優っていう状況って、全然他流試合になるわけじゃないですか。映画で俳優するって」

二宮「うん、それはすごく思う。なんかほんとに、例えばなんか自分は……なんかよくね、『何でそんなアイドルなんですか?』って」

落合「はは! 何でそんなアイドルなんですかって、どーいうことですか(笑)」

二宮「いや、『アイドルって言い続けるんですか?』みたいなことを、すごく言われたりするわけ」

落合「ああ、はい」

二宮「でも……そんな別に言い続けたつもりもないし、そんなに言ってる印象もないんだけど、でもなんか……自分の考えの、そのラインがあって、例えば俳優さんなら、自分が思ってるラインにはまだ自分は達していないから、俳優とは呼んではいけないんだろうなっていうふうにずっと」

落合「ああ、自分のことをってこと」

二宮「そうそうそう、思っていて」

 

最初の「アイドルって感じしないけど、アイドルですよね」っていう落合さんの発言は、話している感じだったり、俳優としての活動を見たうえで感じたこと言ったのだと思います。

これは "質問" という形のパスではなく、"感想を伝える" という形のパスになっています。この形のパスを使うことで「質問攻め」を防げるわけです。つまり、質問という形を取らずに質問する、みたいな感じですかね。

 

ちなみに、そのあとも質問という形には一見みえませんが、正確には『感想+質問』になっています。

どういうことかっていうと、「自分はアイドルと俳優って全然違う職種のように感じるんですけど、二宮さんはどう感じてるんですか?」というようなニュアンスが含まれているってことですね。

で、そのニュアンスを感じ取った二宮さんは、そこからイメージを広げ、その感覚を語ったというわけです。

 

そして、ここから肩書きの話に繋がっていきました。

歌も歌って、CDも出して、コンサートもやって、映画や舞台も出てるし、バラエティもやったり、いろんなことをやってるけど、結局「何をやってるんですか?」って聞かれると「嵐っていうグループの1人です、としか言い表せない」と。

そーいう意味では、自分のことを「大学の先生」って言っている落合さんと似ているかもしれない、という話が展開され、さらに二宮さんの話は続いていきます。

 

二宮「お芝居とかやったりすると、よく宣伝とかで『本格派俳優』とか『演技派俳優』とか『個性派俳優』とか」

落合「本格派俳優ってメッチャ面白いですね(笑)」

二宮「そう。ってゆうふうに言われるんだけど、俳優さんにそんなこと絶対言わないじゃん」

落合「はい、言わないですね」

二宮「だからこそ、俺は事実『本格派アイドル』とか、一回も言われたことないのね」

落合「本格派アイドルでしょーね。ジャニーズはね(笑)」

二宮「そうそうそう(笑)でもやっぱりそれは、もうちゃんとみんなが世間一般的に認めている。言ったら1つのもう文化みたいになってるから」

落合「はい」

二宮「もう誰もジャニーズのアイドルのことを『アイドルだ』って言わないし、もう認識してるからこそ言わないんだけど、まだ……本当に認識している俳優さんとかに、そんな失礼なこと言えないと思って」

落合「ああ、なるほど」

二宮「少なからず俺はそう思う」

 

そしてこのあと、自分は『〇〇派俳優』と紹介されているうちは、まだ完全には認められていない。しかし、そんな自分にも「嵐」という帰るべき場所があることに安心感を感じている。という話がされました。

つまり、「アイドル」と「俳優」に対する二宮さんなりの考えを語っていたわけですが、このときの落合さんの話の聞き方がいいですね!

特に「合いの手」や「壁パス」の使い方が上手いなって思いました。それによって二宮さんが話しやすい雰囲気が作られていたって感じです。

 

で、この二宮さんの話を聞いた落合さんは、次のような感想をつぶけました!

 

落合「そのうち二つ名がつき始めますよ、きっと」

二宮「つくのかなー?」

落合「二宮さんを説明する言葉が無くなってきて、きっとなんか説明されますよ、たぶん」

二宮「ハハハハハハ(笑)」

落合「いや、これは僕の実感なんですけど、僕はメディアアーティストをやってるときに、なんか、なんだろうな……若手メディアアーティストとか呼ばれることも特にはなくて、普通にメディアアーティストって呼ばれることが多いし」

二宮「うん」

落合「研究者やってると、まあ若手研究者って呼ばれるのは、年齢的に呼ばれることが多くて」

二宮「うんうん」

落合「でもまあ、そこで何か言われることもないし、なんか会社やっててもそーなんですけど、もう説明しきれないんで『現代の魔法使い』って呼ばれます」

二宮「ハハハハハハ(笑)」

落合「あははははは(笑)」

二宮「そーなんだよね!」

落合「そうそう! 説明しようがないとき、人は他の名前で呼ぶんだろうなって思って」

二宮「うん」

落合「で、たぶん近々そーなると思いますけどね。これは僕の予言です(笑)」

二宮「はっはっはっは(笑)」

 

ここでは、先ほどの二宮さんの話を聞いて感じた感想を述べています。そしてこれは二宮さんへのパスにもなるのですが、今回はその感想に対する理由、つまり落合さん自身の経験談へと繋げていきました。

こんなふうに、経験談を交えたりすることによって、片方が一方的に話すっていう状況を回避できます。相手ばかりに話させていると相手も疲れちゃいますし、逆に自分が一方的に話すってのも疲れます。なのでバランスが大事なんですよね。

例えばリズムです。単調なリズムが続くと飽きちゃいませんか?

まあ、時と場合にもよるとは思いますけど、会話においてのリズムっていうのは大事なんですよ。なので、バランスよく自分の話も交えると会話のリズムはよくなりますし、自己開示にもなって一石二鳥なんですね!

 

そんなわけで、2人の会話は続きました。

 

落合「でもたぶん、そーだなぁ、俳優かつアイドルなもの……いや、アイドルっていうか、歌って踊れて演技ができる人のことを、あのー、言葉で表す言葉が無いからだと思うんですよ、たぶん」

二宮「うん、ホントに無いんだと思うんだよね。別になんか、それが欲しいって言ってるわけじゃなくて」

落合「たぶん、二宮さんの個性のある演技と、あとアイドルとしての個性が一致したところにある名前だと思うんだけど、それがついたら、それでまた面白いなーと思って」

二宮「そうなったらね! ホント頑張ってきたなって思うよね! だからなんか、そーいうふうに、こうまだまだ……そういうふうに言ってもらえているうちっていうのは、頑張る余力があるし、まあ余白もまだまだあるんだろうし、っていうふうにさ、思いたいよね。やっぱりね。35とかになってきても」

落合「確かに。まあ、めっちゃあるんじゃないですかね。だって2つの道を極めるのに、人生なんて100年あったって足りないから」

二宮「足りないよね〜」

落合「やることがいっぱいあるってのは最高に楽しいですよね」

二宮「うん」

 

このパートでは、先ほどの「二つ名がつくと思う」という感想から、さらにイメージを広げ、なぜ今は二つ名が存在しないのか? そして、もしあるならどこにあるのか? という落合さんの分析が語られました。

つまり、二つ名が存在しない理由に興味を持ったわけですね。その興味を分析に変え、感想というか、自分の考えという形でパスを出したって感じだと思います。

 

また、その分析が二宮さんへのパスにもなっていて、そのパスを受け取った二宮さんは、逆に「まだ二つ名が無いことの意味」へとイメージを広げたわけです。ちなみに、これも『逆説のテクニック』ですね。

まだ二つ名が存在していない。これは逆を言えば、まだまだガンバれる余地がある。というふうに二宮さんは捉えたわけです。

そして、この二宮さんのパスをもらった落合さんは、「道を極めるのには時間がかかる」という考えへ話を繋げていきました。

で、落合さんは、ここからさらなるパスを出していきます。

 

落合「10年後何してると思います?」

二宮「10年後?」

落合「はい。歌って踊ってますかね?」

二宮「10年後って何歳? 30……45。……歌って踊ってたいよね」

落合「まあ、踊ってたいでしょうね」

二宮「あはははは! 理想!」

落合「うん」

二宮「でも1つ思うのは、デビューをしてさ、まあ何年か経ってはいるけどさ、もうどんどんどんどん下が出てくるってなった時に、やっぱり……下の人たちがちゃんと、働ける環境っていうのは作っておきたいなっていうのは……うん、なとなーく、なんかやってきちゃった人の命題なのかなって思っちゃう」

落合「なるほど〜! すげぇ大人な意見が」

二宮「そうそう、大人な意見でしょ(笑)」

 

先ほどの「道を極めるのには時間がかかる」という話から連想して、二宮さんの10年後に興味を持ったんでしょうね。一体どんな10年後を見据えているのか? っていう部分ですね。それが「10年後何してると思います?」という質問になったのだと思います。

 

そして、そのパスを受け取った二宮さんは「次の世代のために環境を整えておきたい」という想いを語ったわけですが、さすがだな〜って思っちゃいましたね!

自分たちのことだけじゃなくて、ちゃんと次の世代に繋げるっていう意識が、ホントに素晴らしいなって思いました。

というわけで、なぜそーいう想いが芽生えたのかっていう話が語られています。

 

二宮「自分たちも先輩たちが、例えばコンサートをここでやりましたとか、CDを出したとか、バラエティに出ましたとか、そーゆうさ、いろんな道を作ってもらってさ、そこを歩いてるわけじゃない。でさ、もうほんと学校みたいなもんだからさ」

落合「なるほど」

二宮「自分の代でさ、それを汚すことだったりさ、それを閉ざすことは許されないわけだよね」

落合「うんうんうんうん」

二宮「だって歩く人がいっぱいいるから」

落合「はい。みんなそこの憧れに向かって歩いて来てるわけですからね」

二宮「そうそうそう」

落合「なるほど」

二宮「だからやっぱそこは、自分たちが歩いた時よりも、ちょっとでも歩きやすい道にしてあげないと、やっぱりいけないだろうし」

落合「うわ〜! 伝統芸能だな、それ〜!」

二宮「そう! もうだからホント! 襲名してもらいたいぐらい、嵐!」

落合「それはもう襲名ですね! 二代目嵐ですね(笑)」

二宮「そう、二代目嵐(笑)」

落合「すげービジネスモデルだ! それはメッチャありだと思う(笑)」

二宮「あははははは!」

 

まず、二宮さんの「次の世代へ繋げる」という想いが芽生えた理由が語られたわけですが、それを学校に例えたわけですね。

それと落合さんのリアクションも素晴らしく、途中で「壁パス」も使っています。それによってエネルギーが増幅され、二宮さんのイメージもさらに膨らみ、より良い返しができたのだと思います。

 

そして、さらに「うわ〜! 伝統芸能だな、それ〜!」という合いの手によって、二宮さんの「襲名してもらいたい」という発言が生まれ、場は一段と盛り上がりました。

ホント、素晴らしい会話のキャッチボールだなって思います。あるいは、会話のラリーですかね(笑)

まあ、そんな感じで、会話のキャッチボールもいよいよ終盤です。

 

二宮「だからなんか、そういった点で、やっぱりなんか、自分たちがそうしてもらってるから、最低限それはしてあげないと……」

落合「確かに、でも、日本にそーゆうようなアイドル事務所があって、そーゆうようなことをやってるってことが、僕はなんか逆に新鮮だったんですけど、話聞けば聞くほどにジャパンだなと思って」

二宮「面白い文化だよね」

落合「面白い! すげーなんか勉強になりましたね!」

二宮「いやー、よかった」

落合「面白い!」

 

そして、最後に握手を交わして終了しました。

 

というわけで、今回は二宮和也さんと落合陽一さんの対談から「会話力を学ぶ」ということをやってみました。

他にもいろんな人の会話が参考になると思っているので、今後もどんどんやっていきます。

 

まあ、会話力を磨くにはいろいろな要素が必要だとは思うんですけど、分かりやすいところで言えば、やっぱ「興味」ですね。

・いかに相手に興味を持つか

・いかに相手の世界に興味を持つか

といった要素が大事なので、まずはそこから意識してみましょう!

はじめは難しく感じるかもしれませんが、ようは「慣れ」です。人間は良くも悪くも "慣れる生き物" ですからね! どうせだったら良い方向に使っていきましょーや!

 

 

職場での悩みのほとんどが人間関係なのはなぜか?

生きていれば様々な人と会わなければなりませんよね? 社会人なら職場、学生なら学校、主婦の方ならママ友の集まり、他にも親戚の集まりなんかもあったりします。

 

そんな時に会話が続かなくて気まずい思いをするのってイヤじゃないですか。そんな思いを今からするんだと想像するだけで、気が重くなっちゃうじゃないですか。

 

例えば、社会人であれば一緒に仕事をするメンバーと気軽に話せる仲じゃない場合、重い雰囲気の中で仕事をしなきゃならないんですよ。そんな職場に明日も行かなきゃならないなんて、想像しただけでも気が滅入ってしまいます。それが日曜日だったらなおさら。もうそれこそ、サザエさん症候群ですよ!

 

実際、職場での悩みの多くは「人間関係」だって、よく言いますよね。ホントその通りだなって思います。もし仕事が楽しかったとしても、人間関係が上手くいっていないだけで、もう職場は地獄です。

 

でも逆に、たとえ仕事が面白いと思わなかったとしても、職場での人間関係が良ければ、それだけで職場が楽しくなるわけですよ! そして結果的に、仕事も楽しく思えてきたりするわけです。

 

社会人の場合1日のほとんどが仕事なわけですから、職場が楽しいってだけで毎日が楽しくなります。そしてこれは職場だけではなく、学校もそうだし、ママ友の集まりもそうだし、親戚との集まりだってそうです。

 

どんな人とでも楽しく会話ができるようになるっていうのは、いつでも、どこでも、楽しい時間が過ごせるってことです。これって素晴らしくないですか!? どうせ同じ時間を過ごすならイヤな思いをするよりも、楽しいほうが良くないですか!?

 

僕はどうせなら楽しみたいと思っているので、そのために会話の研究をしています。いつでも、どこでも、誰とでも、会話を楽しめるようになれば、本当に毎日が楽しくなりますし、人生がメチャクチャ楽しくなります!

 

そして、その研究成果をシェアしたいと思っているのですが、まだまだ発信の仕方にまとまりがないので、小出しで思いつくままに出していきますね!